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ヘッジファンドが市場に与える影響とは?

ヘッジファンド 市場価値

ヘッジファンドは莫大な資金を調達して運用を行うことから、世界中の金融市場に大きな影響を与える可能性を秘めています。

では、ヘッジファンドが金融市場に対して与える影響はどれも悪いものばかりなのでしょうか。

ヘッジファンドが金融市場にもたらす影響について説明していきましょう。

すべてのヘッジファンドがハイビバレッジを用いているわけではない

ヘッジファンド レバレッジ

ヘッジファンドは投資目標は絶対収益です。

つまり、どんなことがあろうとも絶対に資産を増やすことを目標としています。

そのために大切なことが、リスクヘッジです。

相場の状況が芳しくないときでも利益を上げられるように、あらかじめショートポジションなどのヘッジ(相場の変動で生ずる決済時の損失に備えた先物取引)をかけておきます。

しかし反対に相場が上がり続けた場合、ヘッジをかけた分は損失となってしまいます。これを「ヘッジコスト」といいます。

ヘッジをかける手法は、相場の下落時でも安定した収益を稼げる手法であり、絶対収益という目標達成に対しては最も適した手法ではありますが、むしろ普通は収益を伸ばせるはずの相場上昇時にはヘッジコストの分だけ収益が落ちてしまいます。

そこで、収益の補填策として活用されるのが「レバレッジ」です。

しかし多くの人が勘違いしがちですが、ある程度のレバレッジはかけているにしても、すべてのヘッジファンドが「ハイレバレッジ」ではありません

確かに、一部大きなレバレッジをかけて投資を行っているヘッジファンドも存在します。

たとえば、債券アービトラージ型のようにわずかな金利差を狙って売買を行うタイプのヘッジファンドでは、億単位の資金を20倍~30倍にも膨らませて投資効率を上げようとします。

しかし、リーマン・ショック以後はレバレッジに対する規制などが厳しくなったため、倍率は低下傾向にあるのです。

現在では、すべてのヘッジファンドがハイリスク・ハイリターンを狙って行動しているわけではなくなってきています。

マーケット・ニュートラル戦略などをメインに据えているヘッジファンドであれば、一部の公募投資信託よりもローリスクなんて商品もあるくらいです。

多くの人が持っているレバレッジに対する恐怖心や、「ヘッジファンドはハイリスクである」というイメージは、ヘッジファンドに対する知識のなさや情報不足からくるものでしかありません。

ヘッジファンドは銀行から融資を受けて運用を行っている

銀行 金融 bank

メディアによっては、「株価の急激な下落の原因はすべてヘッジファンドにある」というような報道を行うところも存在します。

「莫大な資金を調達して運用する」という特性上、怪しまれてしまう素養はありますが、はたしてヘッジファンドはそこまで「悪」なのでしょうか。

そもそも、ヘッジファンドがお金を調達することができるのは、プライム・ブローカーという資金の貸し付け業者と手を組んでいるからです。

プライム・ブローカーは、ヘッジファンドの取引執行や決済、空売り、レバレッジを実行するために必要な資金・有価証券の貸し付けサービスを提供しています。

それだけでなく、ヘッジファンド新規設立時の援助や助言、投資家の紹介なども行うスーパーサブ的な存在です。

また、プライム・ブローカーの多くは、欧米系の大手投資銀行傘下の会社です。

よってヘッジファンドは間接的に銀行から融資を受けて運用を行っているといえます。

ヘッジファンドによる金融市場への影響はゼロではない

金融市場 マーケット

ただし、ヘッジファンドが市場の値動きに対して何ら影響を与えないとはいいきれません。

リーマン・ショックは、一部ヘッジファンドや投資銀行の自己勘定部門が暴走したことによって米国不動産市場に莫大な資金を供給する役割を果たしたため引き起こされたものです。

資金供給によって結果的に一過性のバブルが発生し、そのバブルがはじけたことによって全世界の金融システムを揺るがすような金融危機を招いてしまったのです。

リーマン・ショックが起こった一因にヘッジファンドであるとして、米国議会ではボルカー・ルールという規制案が可決されることになりました。

2015年、米国の投資銀行や商業銀行の投資活動に一定の歯止めをかけることが決まり、銀行が傘下にヘッジファンドを持つことを制限したり、プライム・ブローカーなどを通して資金供給することも制限したりしました。

それほどまでに、ヘッジファンドは大きな影響力を持っています。

しかし、ヘッジファンドが必要以上に誤解されていることも事実です。

必ずしもリーマンショックの時のような大不況を招くようなわけではなく、むしろリスクをコントロールしながら積極的に利益を追求していくという性格上、市場に流動性を提供し、適正な市場価格にマーケットが戻ることを速めるという役割も担っています。

ただしその反面、どうしても市場の値動きを増幅してしまう傾向もあり、市場価格が乱高下してしまうひとつの原因を作っていることも否定はできません。

「ヘッジファンドは市場に悪影響をもたらす」という多くの人が抱いているイメージは間違いではないのですが、それだけではなく、反対に悪状況を是正する役割も持っているということをぜひ知っておいていただきたいと思います。

 

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